お葬式の腕時計

弔事には故人と関わりの深い方が数多く参列する場であることが多いです。面識がない方も参列していますし、他の参列者の方に不快な思いをさせないように身に付けるものな対する正しいマナーを知っておく必要があります。時計をつけることはマナー違反にあたるのかと気にする方もいらしゃるかと思いますが、結論からいうと「時計を付けてはいけない」という決まりはありませんから、時計は付けていても問題はありません。ただし、参列する方の中には時計はアクセサリーという分類で判断している方もいらしゃるかもしれません。また、時計と一括りにいっても素材やデザインの仕様が多い腕時計から近年ではスマートウォッチなどの普及も背景にあり様々です。デザインやサイズによっては葬儀に相応しくないためマナー違反になりますし、使い方によってはどのような時計でもマナー違反となります。どのような時計であればマナー違反にならないのかという点も踏まえながら、使い方のマナーについてもこの機会にお伝えしていきます。
葬儀に相応しくないデザインの時計を身に付けるのは失礼にあたることがあります。どのような時計であれば葬儀で付けても良いのか、選び方を見てマナーを身につけておきましょう。まず第一条件として、シンプルなデザインを選ぶことが大切になります。派手でカジュアルな時計とされる見るからに光沢感がある物や装飾でキラキラしている物、必要以上にゴツゴツしていたりする物を選ぶのは避けましょう。総合して目立つようなデザインはおしゃれ度が高くなる傾向にある為、不快感を覚える方も中にはいらっしゃいますから、そういったものは避けた方が無難でしょう。
デザインだけでなく時計のサイズに注意する必要もあります。全体的に太さがあるデジタルウォッチやスポーツ用の腕時計・クロノグラフ(ストップウオッチ機能を備えた時計)など文字盤が大きく整然として見えないデザインのものを選ぶと派手な印象やカジュアルな印象を相手に持たせてしまう可能性があります。文字盤が大きいデザインや全体的に太さがあるようなものは避け、スタンダードなサイズのものを選びましょう。
次に時計の色や素材についてのマナーですが、素材がゴールドの時計は葬儀の場に相応しくありません。煌びやかなイメージを与えるゴールドは光沢感も伴う場合が多く、葬儀の雰囲気を崩してしまうでしょう。シルバーの時計であれば身に付けて問題はありません。ほとんどの時計にシルバーが使用されていますし、落ち着いた色味であればつけても問題ないでしょう。また、ベルトは金属製か革製のシルバー・黒・落ち着いた茶のものを選ぶようにしましょう。金属製のシルバーのベルトであっても輝きが目立つステンレススチール製のベルトは避けたほうが良い素材です。革製のベルトについては、本来であれば黒が好ましいとされていますが、渋めで落ち着いた茶のベルトも選んでも良いとされています。しかし明るい茶や殺生をイメージさせるアニマル柄や型押しのものは避けましょう。文字盤の色は白か黒の物をつけていきましょう。男性は黒色のスーツに白のシャツという服装で通夜に参列するのがマナーですから、男性は白の文字盤の時計を選ぶのがおすすめです。女性も喪服を着ていることを考えると黒の文字盤の時計を選ぶのがおすすめです。
時計の色や派手さなどを総合的に見て厳粛な場に相応しいものであれば、葬儀に参列する際に付けて行って問題はないでしょう。ですが人にとっては不快に感じられることもありますから、葬儀が始まる前に時計を外すか、付けても良いか確認をとると安心です。また、うっかり外し忘れてしまったり進行の為に時間の確認が必要な方は、時計が見えないように袖の内側に付けるのもひとつの方法でしょう。
ここからは、懐中時計・スマートウォッチについてをお伝えしていきます。まずは懐中時計についてですが、一般的に懐中時計も腕時計と同様の扱いとなり派手なものでなければ問題がないとされています。また、懐中時計は腕時計と違いポケットなどにしまえば傍からは見えなくなってしまう物ですから、どうしても時間を確認したいといった場合に場所や状況を選んで懐中時計を出して見ることができますから、人の目に触れず付ける事が可能です。しかし近年では懐中時計は腕時計との差別化を図るために装飾性が高いものが多くなってきている傾向にありますから、人の目には触れない様につける事が出来るといえど配慮が必要です。懐中時計の場合でも派手なものではなく装飾が過度に付いていないようなシックなものを選ぶことをおすすめ致します。
スマートウォッチについては、通知をオフにして音が出ないようにしておけば問題がないとされています。しかし、注意が必要なのはスマートウォッチは見た目がカジュアルに見えてしまいますのでマナーに厳しい方や遺族の方の中には、スマートウォッチをおしゃれをする為のものと捉える方もいらっしゃるかもしれませんので、他の時計と同様に葬儀中は外すか、付けてこないほうが無難かもしれません。見た目の特徴のみならず機能性が高い腕時計はアラーム機能がついているタイプや文字盤が光る腕時計についても、誤作動や消し忘れで音が出てしまったり光ってしまったりして周囲に不快感を与えるリスクがありますので、出来るだけ避けた方が良いでしょう。

お葬式のバック

葬儀用のバッグは基本的にツヤのない黒の布製のものを選ぶようにしましょう。布製のものを選ぶ理由として殺傷を連想させる動物の革のものは避けるべきという理由があるのですが、近年ではシンプルで控えめなものであれば革製のものも使われることも多くなってきています。ただし型押しのものやバックスキンなどは控えましょう。また、布製のものでも革製のものであっても光沢のあるものや派手な柄があるものは避けるようにしなければいけません。華やかな柄や模様などが入っていない無地のものを選ぶ必要があります。和装の場合であっても布製のバッグが正式だとされています。また柄や模様だけでなく装飾が目立つものは避け簡素なつくりのものを選ぶのもマナーのひとつです。それに加え弔事の場では光に反射するものはふさわしくありませんから、バッグについている金具やバッグの裏地にも注意しましょう。バッグの留め具の部分などに装飾の要素が強い金具がついているようなものはいけませんが、ファスナー・バッグ底の鋲などの構造上や機能上で必要な金具は問題ありません。ですがその場合でも可能な限り金具が目立たないようなものを選ぶようにすると良いでしょう。表面はシンプルな黒のデザインでもバッグの裏地が派手なものもありますので注意が必要です。バッグの中はあまり人目にはつくものではないのですが葬儀の場にそぐわないので避けるようにします。大きなブランドマークがついていたり、ロゴがはっきりとあしらわれているようなデザインのバッグは葬儀用のバッグとして適してはいませんので黒地であっても避けましょう。
バッグの形やサイズについては、腕にかけられるタイプのハンドバッグです。今までは葬儀用のバッグというと小ぶりのものが主流だったのですが、長財布やスマートフォンなどを持つ方も増えてきたという背景からマチが広いものや開口部が大きくなっているものも増えてきています。反対に黒の布製でシンプルなものであったとしても、肩からかけるショルダーバッグやリュックサック・トートバッグなどはカジュアルな印象を与えてしまい葬儀の場にはふさわしくありませんので避けましょう。もしお通夜など急に参列となった場合で仕事先から直接葬儀に参列する場合など、こうしたバッグを持たざるを得ない場合には肩ひもを短く持つか、受付に預けて葬儀会場には持ち込まないようにしましょう。
必ず持っていくものとしては香典・香典を包む袱紗・数珠があります。その他にも必要に応じて、財布・ハンカチ・ティッシュ・時計・替えのストッキングなどがバッグに入ります。葬儀の場には葬儀用のバッグに入る程度の荷物にするというのもマナーともいわれていますが、お手伝いでエプロンを持参する場合や、夏場であれば日傘が必要だったりメイクポーチなどを持っていきたいという方もいらっしゃるかと思われます。また小さなお子様をつれての参列や、遠方での葬儀には荷物も多くなってしまいます。そのような場合には、サブバッグや手提げ袋などを利用しましょう。サブバッグや手提げ袋も黒色で飾りのない簡素なものを選びましょう。小さく畳めるようなものであれば、使わない時は葬儀用バッグに入れておき必要なときに取り出せるので便利です。
また、男性の場合は冠婚葬祭の場でバッグを持たないのが基本だとされています。男性が着ているスーツにはポケットが多くついていますので、香典や袱紗のほか必要なものはポケットに収めることができるからです。しかし、そうは言ってもポケットがパツパツに膨らんでいるのは見た目的にも良いとは言えません。こうした場では黒いスリムなお財布などを持つと良いでしょう。どうしてもバッグを持つ必要がある場合には、黒無地のシンプルなクラッチバッグがおすすめです。