喪中と年賀状

まず初めに簡潔に喪中についてお伝え致します。喪中とは喪に服すことを指し、故人の死を悼み社交的な行動や華やかな場への出席などを避け身を慎みます。具体的な例を挙げると正月行事や結婚式などのお祝いごとを控える事が喪に服すことになります。喪中の期間については、絶対的な決まりはないですが、一般的にはご不幸があってから一年間が目安となります。宗教・宗派や地域によっては風習の違いがありますが、祖父母や兄弟・姉妹など二親等の場合はご不幸があってから三ヶ月が喪中という考え方もあります。こちらについては宗教・宗派や地域によっての風習の違いがあります。

続いて今回の本題である、喪中の年賀状についてですが、喪中では年内のうちに年賀の挨拶を控える旨を伝える喪中はがき(年賀欠礼状)を出します。ですから喪中の方は年賀状は出さず、相手が年賀状を用意する前に届くように十一月末から十二月中旬に喪中はがきを送りましょう。また、喪中はがき以外の選択肢として喪中でも年始にご挨拶をしたい場合であれば「年始状」を送ることも可能です。年始状とは、東日本大震災後に広まっていったとされるもので、年賀状の代わりに喪中の方・あるいは喪中の方へのどちらでも送ってよいもので年賀状と同じタイミングで届けます。大きな特徴として賀詞などの祝いの言葉を使用しません。寒中見舞いでは控えるとされる結婚や出産・転居といったような近況報告を行ってもよい便りで 書き方は年賀状と同様に句読点を付けないのがマナーです。

お葬式の豆知識
喪中だと知らなかった場合の年賀状

近年では家族葬といった小規模な葬儀が好まれる傾向にありますから、喪中はがきで訃報を知るというケースは決して少なくはありません。しかし、相手が喪中であるのにも関わらず年賀状を出してしまったとしても、どんな事情であれすぐにお詫びの連絡を入れることがマナーです。
まずは喪中はがきを頂いていたのにも関わらず誤って年賀状を出してしまった場合など「ご不幸があったことを元々知っていた場合」についてです。喪中はがきでご家族の訃報を知った場合には、喪中はがきが届いてから可能な限り早いうち(年内であれば年賀状が届く前)に電話をしてお詫びの連絡をしましょう。その際には、はがき頂いた事で故人が亡くなられたことを知った旨と冥福を祈る言葉をまず最初に伝えましょう。その後にハガキを頂いたのにも関わらず年賀状を既に投函してしまった旨と謝罪をしましょう。最後に相手を気遣う言葉も掛けられるとより良いでしょう。次に年内にご不幸があったことを元々知っていたという場合についてです。知っていながら年賀状を送ってしまった際にはより一層気まずく感じる方もいらしゃるかとおもいます。その気持ちを正直に伝える事が大切です。また、ご不幸があったことを知っていたということはある程度親しい間柄でしょうから、相手の気持ちに寄り添う言葉掛けもできるとより良いでしょう。この場合も気付いた時点で可能な限り早く電話をしてお詫びの連絡をしましょう。その際には喪中のはがきを受け取った報告に加え改めてご冥福を祈る言葉を伝えてから、喪中であることを承知していてその上ハガキまで頂いたのにも関わらず不手際で年賀状を投函してしまった旨と謝罪をしましょう。この際も最後に相手を気遣う言葉も掛けられるとより良いでしょう。また、松の内(1月7日)を過ぎてから立春(2月3日)までの間、あらためて寒中見舞いなどでお悔やみを兼ねたお手紙を出すとより誠実で思いやりのある対応になります。また、喪中の方が年賀状などの新年の挨拶を控えたため、寒中見舞いで結婚や出産、引っ越しの 近況報告をしたい場合は、さらりと伝えましょう。
また喪中ハガキを頂いていなかった場合には、相手も年賀状を受け取ることになるのは想定内なのでそこまで慌てる必要はありませんので、改めて心をこめて寒中見舞いを出せば十分でしょう。その際は、お祝いする気分でない相手に年賀状を送ってしまた事への謝罪・故人のご冥福をお祈りする思い・相手への気遣いを伝えると良いでしょう。はがきだけでは気が引けるという場合には電話を差し上げるとより丁寧ですね。
ここまでは年賀状を出してしまって相手に届く前提の対処法ですが、届かないようにしたいという場合の方法についてもご紹介いたします。年賀状は配達前であれば、郵便局または取扱局で「取戻し請求」を行うことで配達を取りやめ返してもらうことも可能です。集配局に留まっている場合であれば無料で取戻しが可能ですが、他の郵便局に発送された後は有料となります。

喪中に年賀状を受け取った場合には、相手が喪中であることを知らずに年賀状を投函した場合以外にも喪中はがきを出した相手からも年賀状が届く場合もあります。喪中はがきはこちらからの新年の挨拶を控えることをお伝えすることが目的なので、喪中に年賀状を受け取ること自体には何も問題がありません。喪中に年賀状を頂いた場合には、「寒中見舞い」で返事を出しましょう。特に、喪中はがきを出していない方から年賀状を頂いた場合には、喪中はがきを出していない旨をお詫びする言葉を含めた寒中見舞いを送ります。故人へ届いた年賀状への返事も寒中見舞いとします。

寒中見舞いは本来であれば暑中見舞いと同様の季節の挨拶でしたが、近年では喪中の方への挨拶状や喪中の方が用いる挨拶状というような意味合いで使われることが増えてきています。寒中見舞いのマナーとしては、切手部分が胡蝶蘭デザインの通常(官製)はがき、または寒中見舞い向きの定型文や挿絵入りはがきを郵便局などで購入するのがよいでしょう。切手を別途で購入しご自身で貼る場合には普通切手を用いましょう。はがきにも共通して言える注意点ですが、デザインは冬や早春らしいイラストを用い、キャラクター物や新年らしいデザイン・干支などは使用しないようにしましょう。また、注意が必要なのが喪中であっても仕事関係の方への年賀状は控えません。会社の上司や同僚の方・仕事関係の方であって故人との面識の無い方に対しては、喪中はがきは送らずに通常通りの年賀状を出します。ビジネスの相手へ気を使わせないためです。
少し難しい判断となるのが、喪中の際の子供同士の年賀状についてです。お子さまが喪中を理解できるような年齢であればマナーを教え控えることが可能ですが、概ね小学校高学年頃になるまでは喪中というマナーを理解することや相手に説明することが難しい場合があります。その為、お子さま同士ならば年賀状のやり取りは通常通りにし許容するケースが多い傾向にあるようです。学校が始まってから「返事がなかった」といったことになるのを避ける為に喪中であっても年賀状を受け取ったお子さまの場合は返事を寒中見舞いとして遅らせずに、すぐに年賀状の返事を出すことが多いようです。