終活という言葉と共にエンディングノートという言葉を皆さん耳にする事も増えてきたのではないでしょうか?エンディングノートとは書く内容は自由に決めて良いもので、よく混同しがちな遺言書とは違い法的拘束力はありません。そう聞くとエンディングノートを書くメリットや、よく耳にする理由がピンとこないかもしれませんね。
今回の記事では、終活をする方・その家族の方にとってもわかりやすくエンディングノートについて作成方法などを詳しくご紹介致します。

エンディングノートの意味とその広まりとは

エンディングノートの意味とその広まりとは

エンディングノートは、一般的には終末を迎えるにあたり残された家族に対しご自身の考えや想いを伝える事を目的を主に記載される備忘録や回顧録といったような意味で使われています。

エンディングノートについてはルールや決まりは存在していませんので、ご自身の終末医療に対する考え方や財産の処理に対する希望などを記録する場合が多いようです。先に述べましたが、エンディングノートは遺言書とは全く違う代物になりますので法的拘束力をもちません。

エンディングノートという名目のノートや手帳には、元から多くの項目が設けられています。

全てをいっぺんにまとめて書こうとするとかなり大変ですので、取りかかりやすい項目から徐々に自分のペースで記入してみてください。先にお伝えしましたが、エンディングノートについてはルールや決まりは存在しないので内容は勿論の事、形式についても自由ですので、極端な話でいうと市販されている普通のノートに日記のように思い付いたことを書くでも良いですし、パソコンやスマホを使って書いたり写真を添付して書くなど十人十色様々なエンディングノートで良いのです。

エンディングノートの広まり方としては、主に葬儀の事前相談会などに参加した方へのプレゼントや葬儀社等の会員加入サービスのプレゼントなどで、以前より販売・無料配布されていました。その後じわじわと終活という言葉が広がり始めるのと共に、各方面のメディアや映画でもエンディングノートが取り上げられるなどして更に認知度が広がってきています。

以前では見かけませんでしたが、最近では主に書店や文具店・通販サイトなどでも販売されるようになってきた他にエンディングノートに関する講座を開いている自治体やNPO法人も増えてきています。

近年では新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、重症化のリスクや死へのリスクを身近に感じる機会が増えてきているせいもあり、万が一の場合に備えてエンディングノートを書こうという方も増えている傾向があるようです。

理想的なエンディングノートの書き方

理想的なエンディングノートの書き方

自由に書いても良いといわれても何から書けば…と迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。いくつか代表的な項目や書いておくと後々役に立つ項目を具体的にお伝えしていきますので、ぜひ参考にして下さいね。

まず一番初めに自分自身についての個人情報を記しておくと、残された方が行政への手続きがかなりスムースになりますし、誰が書いた物なのかが一目瞭然になります。

名前・生年月日・血液型・本籍地やマイナンバー等・携帯電話やパソコンなどの契約しているもの等の情報に加えSNSを使用している場合などは退会手続きをしないと永久にネット上にアップされたままになってしまいますので、ログインIDとパスワードを記しておくと安心です。

またこれらの様な決まった情報だけでなく、例えばご自身の「自分史」や好きな食べ物・趣味など内面的な部分を改めて書くことで新しい自分の発見につながるかもしれませんし、残された方にも幸せな人生だったことを知らせることが出来ますのでおすすめです。

またペットを飼っている場合には、普段からどんなものを食べているのか・かかりつけの動物病院はどこなのかなどを含めたペット情報について、誰に引き取ってもらうかという事も含め書いておくと後々役に立つ事でしょう。

家族の方に負担をかけない為にも詳しく書いておきたいのが、医療や介護についての項目です。様々な理由で判断能力が低下したり、自己判断ができなくなった場合の為に、延命治療や臓器提供などについての希望を書いておくと家族の方々の負担を減らす事が出来ます。アレルギーや持病、常用薬などについても書いておくとよいかもしれません。延命治療や臓器提供については家族にとってもデリケートな問題ですし、万が一の際には難しい判断が強いられる場面になりますので、エンディングノート書くだけでなく話し合いもしておく事が大切です。

また、事務作業を第三者に委任する「死後事務委任契約」を結んでいる場合には、その旨も記入しておいてください。

自分が持っている資産についてもまとめて書いておきましょう。預貯金・保険・年金については契約者が死亡した際に届け出る必要があるので忘れずに記載するようにしてください。所持している株式がある場合はそちらも記載しておきましょう。

この際に通帳や印鑑・保険の証書・年金証書などの保管場所についても明記しておく方が望ましいのですが書いた事によってリスクも生じますので注意が必要です。自分が大切にしていた品やコレクションについてもどのように分けるかを記しておくと遺族が揉める心配もありませんので希望の譲渡先を明記しておきましょう。借金など負の遺産がある場合は、恥ずかしいからと借金の存在を隠さずに必ず記載しておくようにしましょう。

借金があると分かれば遺族の方も「相続放棄」の手続きをする事が可能になり遺族を苦しめることがありません。

一昔前は、ご本人が葬儀やお墓について決めるのは一般的ではありませんでしたが、近年では様々な選択肢がありますので本人が希望を出す機会も増えてきています。葬儀の規模や参列してほしい方・遺影に使ってほしい写真や一緒に棺に納めて欲しい物などについて書いても良いですね。お墓をお持ちの方であれば、寺院や霊園の住所等も書いておくと良いですね。

先に葬儀に参列して欲しい方についての記載について触れましたがそれとは別に、親族や親しい友人の連絡先を一覧にしてリストにしておくと残された方にとっても大いに便利です。訃報の連絡の有無や関係性なども記しておくとより親切です。

ご家族に対するメッセージ、例えば普段は伝えにくいような感謝の気持ちや思い出話など、家族に残しておきたいメッセージを書いておくと残された方はとても喜ぶのではないでしょうか。

メッセージだけでなく写真なども一緒に貼ったりすれば、より思い出が蘇るのではないでしょうか。

最後に注意点として、再三の確認にはなりますがエンディングノートは法的拘束力がある文書ではありません。ですから、相続などについての遺言をエンディングノートで書き残す事はできません。

遺言を残したい場合にはエンディングノートとは別に作成方法や記載内容について法律上のルールを守った遺言書を作成しておきましょう。

そして、エンディングノートに遺言書を作成している旨を記しておくと良いでしょう。

最適なエンディングノートの保管場所とは

最適なエンディングノートの保管場所とは

エンディングノートを実際に書き終えたらどこに保管すればよいのか困るのではないでしょうか。

あまり人には見られたくないデリケートな内容であるのは間違いありませんし事前に身内に見られてしまうことでトラブルにつながる可能性もあるだけでなく、重要な個人情報や暗証番号・パスワードなどを記載していますので簡単に見つかるような場所だと危険です。

かといって絶対に見つからないような場所であると、必要なときにすぐに見つけられないという事になってしまい、せっかく記した自分の意思が反映されない…という可能性もあります。

それではせっかく書いたエンディングノートの意味がなくなってしまいますから、エンディングノートを書き終え際には信頼できる方にエンディングノートを書いたという旨をしっかりと伝えておきましょう。

相続財産についての細かい内容は、エンディングノートとは別に遺言書を作成し保管しておくとよいでしょう。